株式会社ウェステリア 相談する

ChatGPTの集計は間違える?AIの間違い方の型と検算の仕組み化

ChatGPTなどの生成AIにExcelの集計を任せると、間違いは一定の割合で起こります。実務で問われるのは「間違えるかどうか」ではなく、「間違いにどう気づく仕組みを作るか」です。AIの間違い方の型と、検算を仕組み化する方法を整理します。

結論から

  • ChatGPTなどの生成AIに集計を任せると、間違いは一定の割合で起こります。「間違えるかどうか」ではなく「間違いにどう気づく仕組みを作るか」が実務の論点です
  • AIの間違い方には型があります。データの読み間違い・計算そのもののミス・「こういう意味だろう」という思い込みの3つを知っておくと、対策が立てやすくなります
  • もっとも堅実なのは「AIに計算させない」設計です。AIには関数や手順を書かせて、計算自体はExcelに実行させると、間違いの入り込む余地を大きく減らせます

AIは本当に集計を間違えるのか

「ChatGPTに表を渡して集計させたら、合計が合わなかった」という経験談は珍しくありません。これはAIの出来が悪いというより、生成AIの性質によるものです。

生成AIは、電卓のように計算する仕組みではなく、「もっともらしい答えの文章を作る」仕組みです。そのため、単純な足し算でも桁が多くなると誤ることがありますし、表の行を読み飛ばすこともあります。一方で、最近のAIツールには、内部でプログラムを実行して計算する機能を持つものもあり、その場合の計算精度は大きく上がります。ただしどの方式で動いたかは画面上では分かりにくいため、「合っていることもあるが、常に合っているとは言い切れない」というのが実務での前提になります。

大切なのは、この前提を踏まえて「人間の目視チェックを全件やる」以外の検算方法を用意することです。全件目視に戻ってしまうと、自動化した意味がなくなります。

AIの間違い方には3つの型がある

対策を考えるうえで、間違い方を型で押さえておくと役に立ちます。

このうち実害が大きいのは3つ目の「思い込み」です。数字自体は合っているのに前提が違う、というミスは、パッと見では気づきにくいためです。指示を出すときに「税抜で」「対象期間は2026-04-01から2026-06-30まで」のように条件を明示し、作業前にAIへ「これから何をどう処理するか」を説明させてから実行させると、解釈のずれを事前に発見しやすくなります。

間違いの型何が起きるか有効な対策
読み間違い 表の行や列を取り違える、一部を読み飛ばす 100行の表なのに97行分しか集計されていない 件数の照合(元データの行数と処理結果の行数を突き合わせる)
計算ミス 足し算・掛け算そのものを誤る 合計欄の数字が電卓の結果と合わない AIに計算させず、Excelの関数に計算させる
思い込み 指示のあいまいな部分を勝手に解釈する 「売上」を税込か税抜か確認せず片方で集計する 前提条件を明文化して指示する、解釈をAIに復唱させる

検算を仕組み化する3つの方法

毎回人間が気合いでチェックするのではなく、チェック自体を手順にしてしまうのがポイントです。

  • 件数と合計の照合。元データの「行数」と「合計金額」をまずExcelで出しておき、AIの処理結果と突き合わせます。行数と合計が一致していれば、読み飛ばしや大きな計算ミスはほぼ除外できます。数分で終わる割に効果の大きい方法です
  • サンプル検査。全件ではなく、数件〜十数件を無作為に選んで元データと突き合わせます。全件目視の負担なしに「処理のやり方自体が間違っていないか」を確認できます。製造業の抜き取り検査と同じ考え方です
  • 二重経路での照合。同じ集計を別の方法(たとえばピボットテーブル)でも行い、結果を突き合わせます。毎月続く重要な集計であれば、この照合作業自体を関数で組んでおくと、以降は「一致/不一致」を見るだけで済みます

いちばん堅実なのは「AIに計算させない」設計

精度の問題を根本から小さくする方法があります。AIの役割を「計算の実行」ではなく「計算のやり方を作ること」に限定する設計です。

具体的には、AIには「この集計をするためのExcel関数(またはピボットテーブルの設定手順、マクロ)を書いてください」と頼みます。出てきた関数をExcelに貼り付ければ、計算を実行するのはExcelです。Excelの計算エンジンは決まった式を正確に実行しますから、計算ミスの型は原理的に消えます。しかも一度作った式は翌月も使い回せるため、毎回AIに聞き直す必要もありません。

AIが書いた式が正しいかどうかの確認は残りますが、これは前述のサンプル検査や二重経路の照合で初回に確かめれば十分です。「AIは頭脳として使い、手足はExcelに任せる」と覚えておくとよいでしょう。

それでもAIに直接任せてよい作業・いけない作業

すべての作業で厳密な検算が必要なわけではありません。間違いが起きたときの影響の大きさで線を引くのが現実的です。

たとえば、会議用の傾向分析やアンケート自由回答の要約のように「多少の誤差があっても意思決定に影響しにくい作業」は、AIに直接任せて軽い確認で済ませても実害は小さいものです。一方、請求金額・給与・税務に関わる数字のように「1円の誤りが信用問題になる作業」は、AIに式を書かせてExcelで計算し、照合まで仕組み化する、という手厚い設計が必要です。この線引きを社内で決めておくと、担当者ごとの判断のばらつきも防げます。

よくあるご質問

ChatGPTに表を貼り付けて「合計して」と頼むのは、やめたほうがよいですか?
数行程度の簡易な確認なら実用上問題になることは少ないですが、業務の正式な数字を出す用途にはおすすめしません。行数が多い表では読み飛ばしや計算誤りが起こり得ます。正式な集計は、AIに関数や手順を書かせてExcel側で計算する方式が堅実です。
AIの精度は今後上がれば、検算は不要になりますか?
精度は年々向上していますが、業務では「間違いがゼロと証明できない限り検算の仕組みは残す」ほうが安全です。ただし検算の重さは調整できます。運用が安定してきたら、全件照合からサンプル検査へ軽くしていく、といった段階的な緩和が現実的です。
検算まで含めると、結局手作業と手間が変わらないのでは?
件数照合やサンプル検査は、集計そのものを手作業でやる時間に比べればごく短時間です。また、照合作業自体もExcelの関数で自動化できます。「作業はAIとExcel、確認は仕組み、判断だけ人間」という分担にすると、トータルの手間は大きく減ります。

判断に迷ったら、まず話してみませんか。

初回は1時間、無料でヒアリングします。 決まっていない段階でかまいません。今の状況を伺って、何から手をつけるべきかを一緒に整理します。

無料で相談する

関連する記事